お囃子が聴こえて、提灯が釣られて、屋台特有の匂いがする。


夏の香りがふわりと舞う、そんな日。



1.誘われて夏



「ねぇ、知佳、花火あるから行かない?」
幼馴染の時野にそう誘われたのは6日だった。
私はその日暇だったから、OKした。
「二人きり?」
「二人きり。駄目?」
「ううん」


白いカーテンが揺れる。



「6日暇?」
「なんで?」
「花火あんだよ」
「はぁ・・・でもさぁ、なんで俺とお前なわけ」
「伊織暇だろ?」
「だからってさぁ、・・・千夜カノジョとか居ないわけ」
「いない」
「そんなきっぱり」

だから行こうぜ。結局押し切られる。初夏の風が窓ガラスに当たって震えた。




廊下から呼ぶ声がして、俺はふりむく。
「しゅうちゃん」
怜香が手を振っていた。
「どうした?」

あのねあのね、とチラシを見せられる。
これ、行きたい!

花火?・・・

「ねね、いいでしょ?」
「たまにはこういうとこいくか。」
「こいびとっぽく!」
「違う、幼馴染ぽく」
「・・いやん理屈っぽい」






2.何を食べるか決めかねる


「しゅうちゃん、りんごあめ食べたい」
見上げられて、あんまりその顔が可愛らしかったから
つい買ってやってしまった。
つくづく甘い。喜ぶ彼女を見て可愛いと思う。
甘い。
お囃子の音が意外に近くに聞こえたので、驚く。
「鉾の近くは音大きいねー」
りんごあめがきらきらしている。
「一口、くれ」
「いいよ!」




「たこ焼きか・・焼きそばか・・・」
「何悩んでんの?どっちも食えばいいじゃん」
「お前じゃないんだからさぁ・・」
「じゃあ半分こしようぜ。」
「・・・名案だな。」
おっちゃん、たこ焼き一つ。
焼きそばいっちょ!


「・・・美味しい?」
「屋台の味だよ」
「美味いね」
「・・・なんで俺を誘ったの」
「何でだと思う」
「暇だからだろ」
「そんなきっぱり・・」




綿菓子食べよっか、久しぶり。
小さい頃からずっと一緒なのに
なぜか綺麗に見える時野は今日は濃い浴衣だ。
「その金魚柄可愛いね」
「ありがと」
普通の会話のような、違うニュアンスのような。
微妙な空気が流れる。
「私のこと、好き?知佳」
「急になあに、時野」


不安そうに瞳を泳がせて、時野は困ったように私をすとんと見下ろした。
「私知佳にキスしてみたいの。」




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