「お帰りなさいやし」
表に響く組員の声で、義父が帰ってきたことが判る。
布団から出て、用意してあった着物を着る。
帯をしめて廊下を歩く。
目の前に、黒。
「お帰りなさい」
上着を受け取る。
「朝食、一緒に?」
「戴こうか?どちらでも良い」
暗にお前はどうしたい、と聞いている。
「一人は、嫌です。」
とても。
優しい声音が、
「じゃあ二人分、朝食を頼む」
家政夫さんに云いつけた。
「・・・味噌汁が美味いな」
「はい」
「昨日は何をしていた?」
「特に、何も・・・」
「そう謙遜するな」
庭が綺麗になっていたぞ、と。
植物が好きだ。
静かで、優しい。
此処に来て、二年が経とうとしていた。
私はもうすぐ20になる。
驚くほど優しく、そして強い、
私を庇護する存在。
最初の頃の訳のわからない反発は、
雪と共に溶ける様に、ふわり、
守られる、護られる、
ある日その関係は少し形を変えた。
少し、予想はしていた、だから、
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