動転の余り、人を轢きそうになる。
心は焦り、ただ自分の吐息だけが
はっきり聴こえるような。
追従の車がライトを点滅させ、
隣の車線に並ぶ、
午前二時。
暗い道、一所に向かって疾走る。
一所。
それは俺の弱み、
本当に只一つの。
午前三時、到着した直後、
車体側面に被弾、
大きく傾いだ。
応戦するのももどかしくそのまま
突っ込む、爆音。
車から飛び出し、見当をつけて
一発、撃った、
銃声、銃声、銃声。
煙が晴れて午前三時半。
パトカーの音が近づく。
急げと呼びに来た男を落ち着いた言葉で
待たせる事も出来ない、
余裕が無い、目が必死に探す、惑う、
―――――確認、
やおら、きつく、きつく、抱いた。
彼女はこうなる事は予想していたと云った。
辛いかと聞くと反対だと云う、
透明な涙を零しながら。
泣いているじゃぁないかと云ったら
貴方が好きで、と云う―――――
end
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